「夏の花の奇蹟」 ピブラックの聖ジェルメーヌ・クザン 列聖記念のカニヴェ (ブアス=ルベル 図版番号不詳)

Sainte Germaine Cousin de Pibrac, Canonisee a St. Pierre, Rome, en 1867, Bouasse-Lebel


115 x 75 mm

フランス  1867年頃



 1867年、聖ジェルメーヌ・クザン (Ste. Germaine Cousin, 1579 - 1601) がサン・ピエトロで列聖された際に制作された記念カニヴェ。周辺が三段に亙ってレース状の透かし細工になっている繊細な作品です。





 表(おもて)面には、中心に聖ジェルメーヌ・クザンの「夏の花の奇蹟」が、周囲には聖女の他の奇跡と、聖女の信仰生活の様子が描かれています。「夏の花の奇蹟」の絵では、画面右端にいる継母が、画面中央に立つジェルメーヌを棒で叩こうとしています。粗末な服を着て、靴も与えられず裸足のジェルメーヌは、右手にパンを持っています。継母は聖女がパンを余分に盗み、エプロンに包んで隠し持っているという疑いを掛けたのです。





 棒を振りかざした継母から、激しい言葉で責められる聖女は、心の平和を映すかのように穏やかな表情で、意地悪な仕打ちに耐えています。時は真冬であるにも関わらず、継母が広げさせたエプロンからは、美しい夏の花々がこぼれおちています。奇蹟を目(ま)の当たりにした聖女の父は、娘の足許に跪いて、天を仰いでいます。





 幼少の頃から家に入れてもらえず、戸外で羊飼いの仕事をしていたジェルメーヌは、羊たちとともに表されています。羊たちは優しいジェルメーヌを慕い、側に来て寄り添っています。遠景に見えるピブラックの聖堂は、救い主イエズス・キリストと聖母マリアに捧げられた13世紀の聖堂にその起源を遡ります。カニヴェに描かれているのは19世紀における聖堂の様子ですが、ピブラックの聖堂は 1704年に大規模な改修が行われてこのような姿になったのであり、ジェルメーヌが生きた時代における聖堂の外観は、これとは大きく異なります。


 人物像は明色の部分をオー・フォルト(エッチング)、暗色の部分をグラヴュール(エングレーヴィング)で、それぞれ製作していますが、カニヴェは画面が小さいため、いずれの技法も非常に細密な描写を実現しています。


 聖画のすぐ下には、次の言葉が刻まれています。

  Bouasse-Lebel Imprimeur et Éditeur, 29, Rue St.-Sulpice, Paris  ブアス=ルベル 印刷及び出版元 パリ、サン・シュルピス通 29番地

 ブアス=ルベル社 (Bouasse-Lebel Éditeur et Imprimeur) は、「ブアス=ルベル」と名乗ったエングレーヴァー、アンリ=マリ・ブアス (Henri-Marie Bouasse, 1828 - 1912) が創業したカトリックの出版社で、数多くの美しいアンティーク小聖画の版元としても知られています。

 表(おもて)面最下部には、次の言葉がフランス語で刻まれています。

  Sainte Germaine Cousin de Pibrac, canonisée à St. Pierre à Rome en 1867  ピブラックの聖ジェルメーヌ・クザン、ローマ、サン・ピエトロにて1867年に列聖






 カニヴェの裏面には祈りの言葉がフランス語で書かれています。内容は次の通りです。

 Jésus mon Dieu, je vous aime par-dessus toutes choses.

 Douce Vierge Marie, Mère du bel Amour, exaucez-nous.

 Sainte Germaine Cousin, priez pour nous.
   わが神イエズスよ、何にもまして、御身を愛しています。

 優しき童貞マリア、美しき愛なるイエズスの御母よ、我らの願いを叶えたまえ。

 聖ジェルメーヌ・クザンよ、我らのために祈りたまえ。
     
 Cinquante jours d'indulgence sont accordés par N. S. P. Pie IX à quoiconque récitera cette oraison.      この祈りを唱える者には誰でも、ピウス9世教皇により、50日間の贖宥が与えられる。 
     
 Le depot se trouve à la Chapelle de Pibrac, ou chez MM. Hélène et Pignes jeune, place Rouaix, 9, à Toulouse    このカニヴェはピブラックの礼拝堂、及びトゥールーズのピニェス夫妻宅(ルエ広場9番地)で頒布中。 
     
Bouasse-Lebel, éditeur et imprimeur, 29, Rue St.-Sulpice, Paris     ブアス=ルベル 出版・印刷元 パリ、サン・シュルピス通 29番地


 このカニヴェは 1867年、聖ジェルメーヌが列聖された際のもので、製作から140年以上も経っている真正のアンティーク品ですが、それほどまでに古いとは俄かに信じがたいほど綺麗な状態です。下から三分の一ほどのところに一か所、レース状部分に小さな破損があるために、厳密には完品ではありませんが、これほど繊細な紙製品が良好な状態で現在まで保存されていたことを、むしろ評価すべきでしょう。





カニヴェのみの価格 15,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




 なお、木製フレームにベルベットを使用した額装を、手頃な価格で承ります。

 下の写真の左側は、料金 14,700円(カニヴェは別売り)の高級額装の例です。額は日本製で、全工程を手作業で製作した高級品です。サンプルにはダーク・ブルーのベルベットを使用してみました。

 下の写真の右側は、上質の写真立てを使った額装の例です。壁掛け式としても自立式としても使用できます。サンプルにはグリーンのベルベットを使用してみました。料金は 4,200円(カニヴェは別売り)です。






大きいサイズのサンプル写真です。






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